086.七夕
例え、2人離ればなれになっても・・・
「見て、景吾。天の川・・・」
"きれいだね"と微笑む周の肩に手を回す。
「心配すんな」
"お前の方が綺麗だぜ"
ふっと笑うと。周は顔を真っ赤にして俯く。
そして、小さい声で
「・・・バカ・・・」
と、呟いた。
天上を2つに割るように輝く光の柱。
年に一度しか会えない恋人達を繋ぐ道。
「ねぇ、景吾」
そんな幻想的な星を見ていたら、不意に周がこっちを向いた。
真剣な眼差しで、オレを見据える周。
「なんだ?」
その真剣な眼に答えるように、オレも周をしっかりと見据える。
「もし、もしもだよ」
"もしも、僕と年に一回しか会えないとしたら景吾はどうする?"
じっと、8センチ下から見上げる形で周がオレの眼を見やる。
「そうだな・・・」
じっと、周の眼を見つめながらオレはふっと笑う。
「例え、それがこの世のルールなんだとしても・・・」
すっと、顔を周の肩口にやり耳元で囁く。
―――このオレ様がルールを変えてやるよ
「・・・ぷっ。あははっ!」
そのオレの答えに周は大声で笑いやがる。
「・・・んだよ」
少しムっとした表情で周をみると、
周は目の端に涙を溜めながらこちらを見やる。
そして、壮絶な笑みを浮かべて一言。
「さすが景吾」
そう、言った。
そんな周にオレは自身満々で言ってやった。
「心配すんなよ。もしそんなルールが出来たらこのオレ様がぶっ壊してやるから」
"オレ様がルールだ"
Fin.
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