075.征服欲





陽に透ける銀色の髪。
鍛えられ、引き締まった身体。
白い肌に長い手足。
意思の強そうな眼差しと、気品溢れるその風貌。
どこにいても、人の眼をひきつける彼だから。
女の子から声をかけられるのなんてもう慣れっこだけど。

「一人ですか?」
「それ、氷帝学園の制服ですよね?」
「あたし達と遊びませんか?」
きゃぁきゃぁと、回りをかこむ女の子達のパワーにげんなりとした表情を浮かべている景吾。
今日は、学校帰りにご飯を食べに行く約束で待ち合わせをしていた。
ところが帰りに少し先生に捕まって約束の時間を少し過ぎてしまった。
怒ってるかな、っと思いながら景吾との待ち合わせ場所に行ってみると予想通り黄色い声に
囲まれていた。
「あ〜っ! もう、うるせぇ! オレは人を待ってんだっ!」
"散れっ!!"
ついに景吾の怒りが爆発し、女の子達に怒鳴り散らす。
「え〜、そんな人いないじゃん」
「少しぐらいいいでしょ〜」
「遊ぼうよ〜」
それでも諦めない女の子達に脱力した様子でうなだれる景吾。
そんな景吾の様子にクスクスと笑いながら女の子達を掻き分け、景吾の元へと行く。
「お待たせ、景吾」
「遅ぇよ・・・」
ぐったりとした様子で僕をみやる景吾。
そんな景吾にクスクスと笑いをこぼす。
「ごめんごめん。先生につかまちゃって」
「ほら、もういいから行くぞ」
ぐいっと、僕の腰に手を回す景吾。
「えっ!?」
「ちょっ!?」
そんな景吾の様子に女の子達は唖然と見ている。
「ちょっ・・・景吾・・・」
「んだよ」
ぶすっとした表情で答える景吾。


―――あっ、そぉいうこと。


そんな景吾を見やり、クスっと笑うと僕は腰に置かれていた景吾の腕を取り手を絡める。
「周?」
「クス・・・景吾、大好きだよ」
にっこりと笑うと景吾もクックっとのどを鳴らして笑う。
「オレもだぜ」



そのまま2人肩を並べて歩く。
回りの視線なんて気にならない。
景吾が隣にいてくれるのなら。
他の誰にも渡さない。
僕は景吾のモノ。
景吾は僕のモノ。





Fin.