072.ピクニック





麗らかな春の陽射しが差し込む日曜の公園。
「うわぁ〜・・・いい天気」
そんな春の陽射しにも負けない明るい笑顔でそう言うのはオレの1番大切な恋人。
「そうだな・・・」
目を細め、空を見上げそう応える。


ゴールデンウィークも目前に迫ったとある日曜日。
オレと周は、近くの公園に来ていた。

「すごい・・・」
昼間の公園には、家族や友達とバーベキューをしている人たちが思い思いの場所を
陣取り楽しんでいた。
「この辺でいいか・・・?」
適当に木陰を陣取り、オレ達も持ってきたお弁当を広げる。
「さぁ、どうぞ。景吾」
お重の中から適当に取り皿にいれ、周がオレに寄越す。
「さんきゅ」
それを受け取り、オレは箸を割った。

「どぉ・・・?」
「ん、うまい」
もぐもぐと、口を動かしながらそう言うと周は嬉しそうに笑ってみせた。
「よかった!」


「はぁ〜・・・食った、食った」
お重の中をほとんど空にするほどたらふく食ったオレは、その場にごろんと寝転ぶ。
「もう、食べてすぐ寝るなんて・・・」
"牛になるよ?"
微笑みを浮かべながら、お重を片付ける周。
「ふっ・・・オレが牛になんてなるわけねぇだろ?」
ちらっと視線だけを周に移しながらそう言うと、周はくすっと笑って
「でも、もし牛になったとしても僕は景吾を愛するよ」
と、妖しく視線をながしてきた。
「・・・っ」

さすがのオレもこれには参った。
顔の体温が一気に上がるのを感じ取りながら、むくっと身体を起こす。
「クスクス・・・景吾が赤くなるの久しぶりに見た」
してやったりといわんばかりの微笑を浮かべ、周はゴミを捨てるため立ち上がる。
オレも一緒に立ち上がり、空になったお重と周が持っていたゴミを取る。
「景吾?」
「行くぞ」
それだけ言うと、スタスタと先に歩き出す。

「・・・ありがとう」
そういって、オレの横にくる周。
そんな周にすっと手を差出と、周は嬉しそうにそれを握った。

「景吾、大好き」
「あぁ」
2人、手を繋いで歩く。
周りの目なんて気にしない。
「周、愛してる」
「うん、僕も愛してる」


麗らかな春の陽射しが差し込む日曜の公園。
たまにはこんなピクニックやすみもいい―――・・・





Fin.