071.雪降る日





白く儚い結晶が空を舞う。
その下で、愛し合う2人も踊る。
今宵も、甘く妖艶な舞が慎ましやかに披露される―――・・・


「んっ・・・あぁ・・・っ」
愛しい人の喉を甘美な声が震わせる。
白く、美しい姿体を惜し気もなく晒し、
その全てをオレに与えてくれる。

「やぁ・・・もう・・・」
全身でオレを受け止め、苦痛に顔を歪めながらも快楽に酔う周は
とても妖艶だ。
「ふぁ・・・んん・・・っ」
口をついて出る甘い声。
弓なりに反れるしなやかな身体。
涙に濡れる青い瞳。
白いシーツの上に撒き散らされた栗色の髪。
その全てが愛しい。

「景吾っ・・・もう・・・ムリっ・・・」
オレの下で、オレからの攻めに喘ぐ周が限界を訴えてくる。
「ウソつけ・・・まだイけるだろう・・・?」
ふっと、口元を上げて笑うオレの首にその細い腕を回し、唇を寄せてくる。

「お願い・・・もう・・・」
"イかせて"
極上の甘さを含んだ声音でそう囁く周。
「・・・っ」
「ひぁっ・・・やぁんっ・・」
そんな周の誘いに、一気に自己主張を高める自身。
そして、オレはラストスパートをかける。
「あぁ・・・っ! んんっ・・・」
ぐっと、しがみついてくる周の腰を支え最奥を突く。
「あぁぁ―――・・・っ!」
びくびくっと身体を痙攣させながら周は自分の腹に白濁の液を放った。
「くっ・・・!」
それとほぼ同時にオレも周の中に己の欲望を吐き出した。


「あっ・・・」
未だ肩で呼吸をしながらも身体を起こした周がふと声をあげる。
「どうした?」
そんな周の髪をいじりながらオレがそれに答える。
周は窓の外を指差し
「見て、景吾。雪・・・」
"寒いハズだよ・・・"
ふわっと柔らかく笑った。
「ホントだな・・・」
"綺麗だな"
オレも窓の外を見、そう呟くと周はオレの首に腕を回しぐいっと引っ張った。
「ぉわっ!?」
バランスを崩したオレは周の上に乗るような形で倒れこんだ。
「あっぶねぇだろ・・・」
「クスクス・・・」
はぁっと、溜息をつくオレを周はクスクスと笑いながら覗き込んでくる。
その眼は妖しい色をふくんでいた。
「しゅ・・・周・・・?」
「景吾・・・僕がいるのに雪に見とれるなんて・・・」
"いい度胸じゃない"
そう言うと、周はオレの唇に自分のソレを重ねた。
「ふ・・・ん・・・」
めったにない周からの口付けにオレは答えるように舌を絡ませる。
そして、そのままオレ達の身体はシーツの海へと沈んでいく。



白く儚い結晶が空を舞う。
その下で、愛し合う2人も踊る。
今宵も、甘く妖艶な舞が慎ましやかに披露されていた―――・・・





Fin.