044.夢と現実
「・・・吾。景吾・・・」
深夜、オレは周の声で眼が覚めた。
枕元の時計を見てみると、針は夜中の2時を指していた。
「ねぇ・・・景吾ぉ・・・」
周は座って、オレの顔を覗き込んでいる。
オレも身体を起こし、周を見て・・・固まった。
「景吾ぉ・・・」
甘ったるい声でオレの名前を呼ぶ周。
その眼は涙で潤み、頬はほんのり紅色に染まっている。
パジャマの上だけを羽織り、そのしなやかな白い足を惜しげもなく見せている。
「ねぇ・・・景吾ぉ・・・」
艶やかな声。
息も少し荒い。
涙に濡れ光る瞳を少し伏せ、遠慮がちに身体を摺り寄せてくる周。
今までにない妖艶な色気を醸し出していた。
そんな周の様子に、オレの中心も熱を持ち始める。
「ど・・・どうした?」
せいいっぱいの理性を保ちながら、オレが聞く。
すると、空色の瞳が羞恥の色を含みながら
「・・・欲しいの・・・」
と、恥ずかしそうに言った。
その一言にオレの理性はふっとんだ。
「周・・・っ!!」
オレは周を押し倒した。
すぐさま服を剥ぎ取ると、オレは周の白いうなじに唇を這わせた。
「や・・・ん・・・」
くすぐったそうに身体をくねらせる周。
それがさらにオレの熱に火をつけた。
周が一番感じるのは、右の胸の赤く熟した小さな突起。
それを軽くつまんで、コリコリとした感触を楽しみながらコネ回す。
「あっ・・・んん―――・・・!」
すると、思った通りの喘ぎ声が、恋人の白い喉を振るわせる。
そして、もちろん唇への深いキス。それから、耳たぶへの甘い囁き。
太股の内側の柔らかい肌―――・・・。
「は・・・あぁ―――・・・! 景吾ぉ・・・」
そして周は、羞恥を堪えて自ら両足を大きく割り開く。
「周・・・」
「景吾ぉ・・・」
惜しげもなく開かれたその白い太股も、熱しきった胸の小さな粒の実も、
鮮やかに恥じらいの色に染まる頬も、細かく震えるまつげの先まで、すべてが愛しいと想う。
可愛いと想う。
優しくしてやりたいと想う。
「お願い・・・景吾・・・もう―――・・・」
あまりに食指をそそる周の魅力に惹かれるように身体を重ね、充分すぎるほど熱く反り立った男の証を、
周の密やかな入り口に押し当てる。
瞬間、ほとんど整理的な拒否反応で腰を引こうとする周を、自分の体重で押さえ込む。
「周、愛してる―――・・・!」
そうして口付けながら、オレは、自分のためだけに開かれた少年の中に、ゆっくりと身体を沈めて―――・・・
「・・・吾。景吾!」
「ん・・・?」
眼を開けるとそこはいつものオレの部屋。
そしてさっきまでオレの下で羞恥に身体を震わせていた周が、オレを覗き込んでいた。
「そんな所で寝てると風邪引くよ?」
と、オレの手を引く。
「夢・・・?」
未だに覚醒しない頭でそう呟くオレをベッドに座らせ、自分もその隣に座る。
「そんなに長かったかな・・・? おフロ・・・」
どうやら、オレは周がフロに入ってるのを待ってる間にロッキングチェアーで眠っていたらしい。
「めずらしいね・・・景吾が居眠りなんて・・・」
"起きたとき残念そうだったけど、どんな夢をみてたの?"
と、妖艶な瞳で覗き込んでくる周。
「・・・知りたいか?」
口の端を少し持ち上げて笑いながらオレは周に聞く。
「うん・・・? そうだね・・・」
"知りたいな・・・"
ふっと笑う周。
「じゃあ、教えてやるよ―――・・・」
オレは周を組み敷いた。
そして2人の身体は白いシーツに解けていった。
今度は夢じゃなく、現実だよな―――・・・?
Fin.
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