043.愛
お前が大切だから。
お前が大好きだから。
お前を愛してるから。
オレは不安になるんだ。
だから、そんなときは―――・・・
「あ・・・ん・・・っ! はぁ・・・」
周のイイトコロを必要に攻めたてる。
すると、予想通りの声が上がる。
どこをどうすればどうなるかなんてわかっている。
すべて自分が開発したんだ。
「あぁ・・・んっ・・・」
オレの下でオレからの攻めに堪え凌ぐ周。
白い喉を震わせ、目の端に涙を溜めながら、それでも必死に堪えている。
そんな周が可愛くて、愛しくて、オレはいつも周を激しく貪る。
「そんなにイイのか?」
"ココがっ!"と、一番激しく突き上げる。
「あぁ・・・っ!!」
すると、周は身体を反り返らせ、歓喜の声を上げ果てる。
同時にオレも周の中に己の欲望を吐き出した。
周と身体をつなぐのは何度目だろうか。
相手を欲し、求め、愛し合ってきた。
何度目かも分からないぐらいにオレ達はつながってきた。
それでも、オレは周を求め続ける。
それは、自分の中にある恐怖から逃げるためだけかもしれない。
幾度となく身体をつなげても、尽きることのない不安。
いつか、オレの元から離れてしまうんじゃないか。
いつか、オレを捨てていってしまうんじゃないか。
そんな考えがオレの心を支配する。
周を好きだけど、好きだからこそ離れるのが怖い。
周を信頼してるのに、どうしても頭から離れない恐怖。
"もしも"や"いつか"はキライだったのに、周が絡むとオレの思考回路は
"もしも"や"いつか"に支配されてしまう。
これほどまでにオレの中で周の存在が大きくなっている。
オレはもう、周なしで生きていけないんじゃないかと思うほどに。
「け・・・ご・・・?」
「あ・・・わり・・・」
心の中で葛藤していたオレは、放心していたらしい。
「・・・・・・」
「・・・なんだ?」
じぃっとオレの顔を見つめる周。
その眼はどこかどこか優しげだった。
「景吾・・・」
オレの下から這い出し、ムクリと起き上がる周。
そして、オレの頭をふわっと抱く。
「周・・・?」
「大丈夫・・・。大好きだよ・・・」
オレの首に手を回し、今度は力いっぱい抱きしめる。
「大丈夫。何も心配することはないんだよ。僕はずっとココにいるよ」
「・・・!!」
その時オレは確信した。
"何もかもわかっているんだ"と。
周には、オレの考えてることが・・・。
周のその言葉を聞いたとたんに、オレの中でなにかがふっきれた。
「ふ・・・そうだな」
何を迷っていたんだろう。
何を心配していたんだろう。
何を見ていたんだろう。
周はいつもオレに教えてくれていたのに。
"大丈夫だ。"っと。
"大好きだ。"っと。
広い心と深い愛で、いつもオレを守ってくれる。包んでくれる。
「景吾・・・」
オレはぎゅっと周を抱きしめた。
もう迷わない。
大丈夫。
オレには周がいるから。
周を信じ、周だけを愛し、周を守ってみせる。
周がオレを守ってくれるように。
周がオレを包んでくれるように。
今度はオレが返すんだ。
周がしてくれたみたいに。
周が迷ったら、その先を示す道しるべとなれるように。
周が困ったら、一緒に解決してやれるように。
オレが周の傍で休めるように、周にとっても一番安心できる場所が
オレの傍であってほしいから・・・。
周に“ありがとう”の気持ちをこめて、キスを落とす。
不安になるのは、それだけ相手のことを想っているから。
心配になるのは、それだけ相手のことを大切にしているから。
「周、愛してる―――・・・」
そうして、オレ達はまたシーツの海へとダイブする。
深く深く、愛し合うために。
激しくお互いを求めるために。
強く相手を欲するために。
お前が大切だから。
お前が大好きだから。
お前を愛してるから。
オレは不安になるんだ。
だから、そんなときはお前の愛でオレを包んでくれ―――・・・
Fin.
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