008.想像





もし、周を動物に例えるなら、
あいつは絶対“きつね”だと思う。


その日、周は青学の菊丸とかいうネコみたいなヤツと一緒に買い物に出かけてていなかった。
だから、オレはロッキングチェアーを窓辺に持っていき雑誌を読んでいた。
その雑誌のあるページにオレの眼は釘付けになった。
"彼女を動物にするなら!?"
という、動物のコスプレの特集だった。
ネコやトラ、ウサギにヒョウ・・・といろいろあった。
だけど、どれも周に合わない気がした。
・・・と、次のページをめくってみると、そこにはキツネのコスプレセットがあった。



「クスクス・・・景吾」
ぴょこんと出てきた周。
しかし、その栗色の髪の上には黄金色の大きな耳がついていた。
そして、少年特有の小さいおしりにはふさふさしたしっぽ。
それは、まるで艶かしくも美しい妖狐のようだった。
「コレ、いいでしょ? 英二と一緒に買ったんだ。」
"もちろん英二はネコセットだよ"
と、妖しい微笑みを浮かべながらオレに近づいてくる周。
そして、オレの前までくると膝で立ち、
オレの膝の上に手をぴょこんと乗せた。
そして、その上に顔をおき、オレを上目遣いで見上げ、首を傾げて一言。
「ご主人様ぁ」



「・・・・・・」
ヤバいくらいにいいじゃねえか・・・っ!!
想像しただけでオレはムンムンときていた。
実際に目の当たりにしたら、オレは自分を止められる自信はねぇぜ・・・。
マジで。
しかし・・・
「・・・おいしすぎる」
1人でぼそっと呟いた。

もし、周を動物に例えるなら・・・
あいつは絶対"きつね"だと思う。





Fin.