[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


001.ダブルベッド





「ん・・・は・・・あぁ・・・」
閉ざされた密室に響く艶やかな甘い声。
「どうした? もう降参おわりか?」
そして、それを煽るように囁くハスキーヴォイス。
夜事繰り返される密事は、何もかも忘れさせてくれる。
禁断という名の悪の花ピカレスクにハマったのは、僕だけじゃない。
彼もまた、僕と同様に悪の花ピカレスクにハマっている。





彼が動くたびにベッドの軋む音が部屋中に響き渡る。
そして、僕の声も・・・
「あん・・・も・・・ムリっ・・・」
「ウソつけ・・・まだいけるだろ?」
ギシっ、ギシっと、一定のリズムで軋むそれが、僕の執着心を煽る。
僕の呼吸に合わせて動く彼。
「はぁ・・・ん・・・」
ギシっ、ギシっ・・・
僕の呼吸と彼の囁き。そして、ベッドの軋む音。
僕の耳に聞こえる全ての音が僕を高みへと押し昇らせる。
「はぅ・・・んん・・・あぁっ・・・」
絶頂が近づくにつれ、僕の呼吸が速くなる。
それにあわせてベッドの軋みも強さを増す。
ギシっ、ギシィ・・・
「おねが・・・もう・・・」
少し首を持ち上げ、彼を見ながら懇願する。
「しょうがねぇなぁ・・」
つまらなそうなセリフとは裏腹に、彼の顔は実に楽しそうだった。
「さぁ・・・存分にイケよっ!」
「あぁっ―――・・・っ!!」
彼が、僕の最奥をついた。
声にならない快楽が僕を襲う。
それと同時に彼は僕の中に、そして僕はシーツの上に白濁とした液体モノを吐き出した。





「はぁ・・・」
「どうした?」
彼―跡部景吾―が心配そうに覗き込んでくる。
いつもはクールで、人のことなんて気にしない男だと思われがちな彼だけど、
本当はとても優しい。
特に密事の後は本当に優しい眼になる。
僕は、そんな景吾がとても好きだ。
何よりも僕のことを一番に考えてくれる。
そして、誰よりも僕を愛してくれるから・・・。


僕は彼の顔を覗き込んで
「今日はやけに激しかったじゃない・・・」
クスクス・・・と笑う。
「ふん・・・うるせー」
僕の頭をベッドに押し込めながらプイっとそっぽを向いてしまった。
口に掌をあてて、僕とは反対の方向を見ている景吾。
しかし、僕は知っている。
それが彼の照れ隠しなのだと。
「クスクス・・・」
「んだよ・・・」
もともと、あまり自分の感情を表に出すヒトじゃないけど、照れたり嬉しかったりすると無意識に掌を口にあてる。
小さいときからのクセ。
僕が・・・僕だけが知っている景吾のクセだ。
「大好きだよ・・・景吾・・・」
「あぁ・・・オレも好きだぜ」
二人、顔を見合わせて笑う。


幸せな時間。
満たされている時間。
「激しいのは燃えるからいいけど、ベッドが壊れそうだったよ?」
と、僕が言うと
「壊れたら新しいのを買えばいいだけだろ?」
さらっと言いのける景吾に、改めて跡部財閥のすごさを実感する。

「このお坊ちゃんは・・・」
はぁ・・・っとため息をつく
「んだよ・・・ちょうどいいじゃねぇか」
「なにが?」
「男2人寝るのにシングルベッドじゃキツいだろーが。だから、この際ダブルベッド買おうぜ」
なっ・・・!?
・・・まぁ、確かにシングルベッドに2人は狭い。
その分くっついて寝れるから、僕は結構今のベッドも気に入ってるんだけどなぁ・・・
「・・・壊れたらね」
「じゃぁ・・・壊れるまでヤるか?」
景吾が口の端をあげて、にやりと笑った。
「なっ・・・!?」
「そうと決まれば今日中に壊してやる・・・」
いつの間にか、僕は景吾に組み敷かれていた。
「ちょ・・・景・・・っ!? あっ・・・んん・・・」




さっきの熱も冷めやらぬまま、僕の身体はまた熱を持ち始めた。
このままだと、本当に明日にはダブルベッドになっていそうだ。
いや、僕の方が先に壊れるカナ・・・?
クスクス・・・お手柔らかに・・・。






Fin.