絶対、口に出して言ってやる気はねぇけど。
いつか、言えたらいいと思う。
それは、友人でもあり、また良きライバルでもある
オレの大切な仲間達への・・・
『感謝の言葉』
「なぁなぁ! 見てみてっ、これ! スゲぇだろっ!!」
「あれ、ジロー先輩が起きてるなんて珍しいですね」
氷帝テニス部正レギュラー専用の部室。
「ほんまやなぁ。岳人、明日は雨やから傘、忘れたらアカンで」
「らじゃっ!」
ここは、選ばれたレギュラーのみが入室を許される神聖な部屋。
「なんだよっ! 忍足のバカヤロ~!!」
「ってかジロー。なんだよ、ソレ」
言わば楽園。
「今日返ってきた英語のテストっ! 72点だったんだ~!」
「あ。そのテスト、オレ85点だった。侑士は98点だったっけ?」
言わば聖域。
「ん・・・?あぁ、しょうもないミスしてもうてな」
「なっ・・・」
氷帝テニス部員なら、誰もが憧れる部屋。
「ちなみにオレは93点だったゼ。まぁ、簡単だったしな」
「スゴいです、宍戸さん!」
「いや、マジで簡単だったんだって・・・」
そこにいるオレ達は、もちろん憧れの的。
「な・・・なんだよぉ! みんなして~!」
「まぁまぁ、そうスネるなって」
例え、どんなに苦しい試合でも。
「そうそう、72点やなんて、ジローにしてはがんばったやん?」
「忍足先輩・・・フォローになってないです」
オレ達に"負け"は許されない。
「激ダサだな」
「・・・むぅぅ」
そんな過酷な中で共に戦う仲間だから。
「あとべぇ~、みんながオレをいじめる~!」
「・・・ジロー。お前らも、いい加減にやめとけよ」
いつもと変わらぬ時間を。
「ジロー! 跡部に助け求めるなんてセコいぞっ!」
「べーッ!!」
いつもと変わらぬ風景の中で。
「ほら、着替え終わったんだったらさっさとコートに行け!」
「行けぇ~!」
同じ時間を共有する仲間だから。
「お前もだ、ジロー」
「あっ、やっぱり?」
いつか、言えたらいいと思う。
「跡部、ありがとネ」
「・・・なんだよ、いきなり」
オレの大切な仲間達へ。
「跡部~! ジロー! 早くこいよっ!!」
「部長が遅刻したらマズいやろ」
心をこめて・・・
「今行く~!」
「おいっ、ジロー!?」
ありがとう。
Fin.
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